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2017年05月23日

棒(ゴルフクラブ)と鞭(教育)

 棒(ゴルフクラブ)を振り回すゴルフは私の趣味の1つですが、日頃はなかなかゴルフ練習場に通う時間が作れず、いつもぶっつけ本番でラウンドをしています。ただ、ノルマとして2、3ヵ月に1回は、ゴルフレッスン(ゴルフスクエア 大宝塚校)に通うことにしています。

 ゴルフ仲間から、「料金が高いでしょう?」とか、「もう習う必要なんか、ないんじゃないの?」とか言われたりもしますが、守屋コーチは大変素晴らしく、そのアドバイスはとても興味深く、いつも充実した楽しい時間を過ごしています。

 守屋コーチはまるで名医のようであり、すぐに"病気"の原因を発見・指摘するとともに、エラーが生じる機序を丁寧に説明した上で、様々な"処方箋"を示してくれます。数えきれないぐらいの"患者"を治療してきたのでしょう、その引き出しの多さにはびっくりさせられます。

 まずは、飛球線後方からの私の悪い時のスウィング写真を見てもらいましょう。

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 正しいスイングに対する意識が希薄であるときや「よし飛ばそう!」と緊張したときなどは、右手が利き手ということもあり、右手に力が入り過ぎ、間も取れず、アイアンを上から大根切りするような力んだスウィングになってしまいます。当然、クラブが上から刺さるような形で下りて来るため、軸がぶれ、ダフリや左ひっかけという恒常的なミスが生じてしまいます。

 次に、コーチからアドバイスを受けた後(修正後)の正しいスイング写真を見てもらいましょう。

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 クラブが三角形の真ん中を自由落下する形で自然と下りて来るため、スイングプレーンを外れず高い確率で正しいインパクトを迎えることができるとともに、自然な加速も加えることができます。

 こう説明すれば、ゴルフスイングは非常に簡単に思えるのですが、このテイクバックのシーンを自分で見ることができないところが厄介で難しいところです。いつも通りスイングしているつもりでも、その日の気分や体調、あるいはコーチの教えを忘れてしまうことによって、少しずつスイングプレーンからずれて行ってしまうのです。これが不調の原因となりますが、自分では気づかないことも多いのです。だからこそ、第三者(コーチ)の目で客観的に定期的にチェックしてもらうことが有益となります。

 また、当然のことですが、ゴルフスイングにも、いくつかの必要な基本動作というものがあり、長年やっていると自然と身に付いていくものなのですが、初心者には、この基本動作というものが日常生活にはない動きであり、なかなか難しいところです。

 私は、日頃、大学生や法科大学院生に法律学を教えているのですが、私がゴルフにおいて教えてもらうべき生徒の立場であることが、教鞭を執る上でも大変新鮮で、貴重な経験になっています。どの世界でも、プロは、自然と基本的知識・スキルや感覚を身に着けてしまっているのですが、それを改めて意識し、初心者(生徒)向けに教えるという際にどのような基本的事項から出発し、どのようにアドバイスしてもらえれば嬉しいのか、あるいは、どうすればやる気が出てくるのか等々が大変勉強になります。

 つまり、コーチないし教師の立場において絶対に必要なことは、何事も最初は非常に難しく感じられるものであり、どの基本から教えていくのか、どうやって迷える初心者(初学者)をリードしていくのか、そして定期的に第三者の目でチェックしながら、いかに継続的にモチベーションを保ち続けられるようにするのかということだと思います。

 「人間というものは弱いものである。自らどんな場面に立とうと、最善をつくすという人は実際にはいない。人間は抜け通しである。誰かの監督や導きによって、仕方なく、それもやかましく怒られて、仕方なくやってきたことが習い性になり、その人の立派な習性になってそれが生活となる」(松下幸之助「物の見方考え方」PHP研究所)

 ゴルフも、仕事も非常に奥深く、私も、おそらく様々な人々からのアドバイスや叱咤激励を受けながら、一生かけて学んでいくことになるのではないかと思います。