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2014年11月28日

大リーガー・和田毅投手

 ある会合にて、現役大リーガー(現シカゴ・カブス)である和田毅投手の講演を聞くことができました。
 すらっと背が高く、煌めくようなオーラがあり、背広の上からでも、まるで鍛え抜かれた身体が透けて見えるような錯覚がしました。受け答えを聞いていても、本当にスポーツマンで、好青年だなあと思いました。

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 今回は、早稲田大学野球部元監督(野村監督)との師弟対談だったのですが、心を打つ話が数多くありました。これまでのスポーツの指導は、ノック200本とか、走り込み何分とか、画一的な練習プログラムを全員に押し付けるものであったが、人それぞれ、筋力や骨格、体力などが違うのであり、それぞれの人にあった練習が必要であるし、同じフォームを押し付ける必要はないという監督の話には、本当に真の指導者・教育者だなあと感心しました。

 和田投手の場合には、大学1年生の春、キャッチャーが飛び上がっても捕れないような高めのボールを投げていたようですが、そのボールのスピードと球質があまりにも傑出していたため(まるで、漫画「侍ジャイアンツ」の世界です)、監督は「球を低めに投げなさい。」というようなオーソドックスな指導は行わず、そのまま黙認して投げさせ続け、投球に磨きをかけていったそうです。技術的には、下半身からの力を上半身、そして腕へと伝えていくために、当初、球が上ずっていたそうですが、その後、下半身(腰)の動きを正確に行う練習を続けていた結果、その球質(初速と終速の差が少ない)にコントロールもついていったそうです。

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 会場からは「どうして、大リーグを目指したのか?」という質問がありましたが、それに対しては、野球とベースボールは違うものであり、ベースボールにもトライしてみたかったこと、そして、大リーガーに対する社会からの尊敬の念や子供達の目が違うことなども理由に挙げられていました。大リーガーは、まさにアメリカン・ドリームの実現そのものであり(常にパトカーの先導があり、リッツ・カールトン以上のホテルに必ず泊まるそうです)、そのあたりに日本と米国の文化や社会システムの違いがあるのかなあとも感じました。
 他方で、野村監督の話によりますと、マイナー・リーグの選手は、まるで野生のライオンそのものであり、日本のプロ野球選手は、いわば動物園の檻の中で育ったライオンである。ぬるま湯体質から原野に飛び出して地面を這いつくばる覚悟と人間力があるかどうかで、米国で活躍できるかどうかが決まってくるという話も心を打ちました。
 大リーガー青木宣親選手(現ロイヤルズ)も、日本での輝かしい実績やプライドをかなぐり捨て、監督の部屋に毎日通って、「監督の言うことなら何でもその通りにやるから、使ってくれ。」と懇願し、その信頼を徐々に勝ち取って、マイナーリーグから這い上がっていったそうです。

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 和田投手のサインボールをもらうことができました。和田投手が言う通り、日本のプロ野球で使用されているボールと比較してみますと、日本のボールの方が縫い目部分がこんもりと高く、表面の皮はしっとりしているような感じがします。そのため、大リーグの投手は、クリームを体中に塗って、わからないようにそれを手に付けて、ボールに馴染ませているという話でした(見つかれば、反則です)。このあたりも、日本と米国の風土・気候の違いが反映されているのだろうなあと思いました。

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 また、私の名前をサインしたトレーナーももらうことができました(「つよし」繋がりです)。そして、このトレーナーも、アメリカン・サイズです(笑)。

 今回の講演を通じて、野球だけではなくどの分野においても、またどの土地においても、「絶対に諦めず、やってやるぞ」という泥臭い姿勢や貪欲な気持ち、そして人間力があるかどうかで、成功するか、失敗するか分かれるのではないかと思いました。さらに、その人、その人間力を見極めること、これが教育者として果たすべき大きな使命と責任であるという点も痛感し、身が引き締まる思いが致しました。
 今回、このような大変貴重な機会を提供していただき、この場をお借りしまして、感謝申し上げます。