2021-10

2021年10月14日

養育費の支払について

 夫婦が離婚する際、未成熟子がいる場合には、養育費の支払が問題となることが多くあります。未成熟子に対する養育費の支払義務は、親族間の扶養義務(民法877条)のうち、生活保持義務(自分の生活と同程度の生活を保持すべき義務)であると考えられています。したがって、養育費は、扶養義務者である親が扶養権利者である子について、自己と同程度の生活を保持できるよう定められるべきとされています。

 

 養育費の具体的な金額等については、夫婦双方の収入等を考慮した上での話し合いで決めることになりますが、話し合いをしてもまとまらない場合に、家庭裁判所に調停を申し立てることも可能です。

 調停においては、多くの場合、裁判所が公表している算定表を基礎として協議されます。

平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について | 裁判所 (courts.go.jp)

 

 養育費支払義務の終期についても取り決めておく必要があります。民法上は、扶養を受ける子の年齢について具体的な規定はされていないため、子が20歳になるまでとするのか、18歳になるまでとするのか、あるいは大学を卒業するまでとするのか、その終期が問題となることがあります。

 一般に、養育費の支払対象となる子は「未成熟子」、すなわち「身体的、精神的、経済的に成熟化の過程にあるため就労が期待できず、第三者による扶養を受ける必要がある子」とされているので、子が成年に達していても、親の資力、学歴、社会的地位等から通常大学卒業以上の高等教育を受ける家庭環境であると判断される場合には、親に具体的な扶養義務(教育費の負担)を負わせることができると考えられます。

なお、離婚訴訟において判決で養育費の支払が命じられる場合には、「子が成年に達する月まで」とされることが多いです。

ところで、令和4年4月1日から「民法の一部を改正する法律」が施行され、成年年齢が18歳に引き下げられます。今後、かかる改正が養育費の支払義務の終期に影響を与える可能性もありますが、直ちに18歳に達するまでという条件が主流となることはないのではないかと考えます。

養育費等、離婚に関するお悩みも、お気軽にご相談ください。

 

                                                                                              弁護士 前田 彩

Category: Author: スタッフ
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