2020年3月10日

マスクの転売禁止規制(国民生活安定緊急措置法)

 政府は、2020年3月10日、新型コロナウィルスの蔓延のため入手困難となっているマスクにつき、インターネット上での転売等を禁止するため、国民生活安定緊急措置法の政令改正を閣議決定したという。本来は、公共財や経済的外部性を有するもの以外の財やサービスについては、自由競争市場によって供給されるのが公正であるというのが経済学の教えるところであるが、昨今のような社会情勢下においては、情報の完全性や供給サイドの硬直性、自由競争性など完全競争市場の大前提が崩れているところであり、やむを得ないと言えるであろう。
 マスクにつき、十分な供給がなされるようになり、同法の適用も早期に解除されることが望まれるところである。

<参考条文>
国民生活安定緊急措置法(昭和48年法律第121号)

第1条(目的)
 この法律は、物価の高騰その他の我が国経済の異常な事態に対処するため、国民生活との関連性が高い物資及び国民経済上重要な物資の価格及び需給の調整等に関する緊急措置を定め、もつて国民生活の安定と国民経済の円滑な運営を確保することを目的とする。

第3条(標準価格の決定等)
 物価が高騰し又は高騰するおそれがある場合において、国民生活との関連性が高い物資又は国民経済上重要な物資(以下「生活関連物資等」という。)の価格が著しく上昇し又は上昇するおそれがあるときは、政令で、当該生活関連物資等を特に価格の安定を図るべき物資として指定することができる。
2 前項に規定する事態が消滅したと認められる場合には、同項の規定による指定は、解除されるものとする。

第4条1項
 主務大臣は、前条第一項の規定による指定があつたときは、その指定された物資(以下「指定物資」という。)のうち取引数量、商慣習その他の取引事情からみて指定物資の取引の標準となるべき品目(以下「標準品目」という。)について、遅滞なく、標準価格を定めなければならない。

Category: Author: 近藤 剛史
近藤総合法律事務所
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