2020年1月2日

新年早々 Carlos “Gone”

 心穏やかに正月を迎えようとしていたところですが、カルロス・ゴーン氏に関する驚きのニュースがありました。彼が日本の刑事司法制度について暗澹たる思いを抱くことにつき心情的に理解できないものではありませんが、だからと言って、今回の逃亡劇が決して正当化されるものではありません。東京地裁が出した保釈条件に違反していることは明らかですし、現在のところ出国できた経緯は不明ですが、出入国管理及び難民認定法に違反しているものと推察されます。また、国民感情としても、カネの力を使えばどんな卑怯な裏技(抜け道)を使ってもよいのか、日本を舐め過ぎだ(彼は数か国語をしゃべれるようですが、日本語をちゃんと勉強しようとしたことはなかったという話もあります)という意見も根強いことでしょう。本件について、関係各署において危機管理意識があまりにも低過ぎた、あるいは、「世間(世界)知らず」(「平和ボケ」)や「井の中の蛙」「茹でカエル」状態になっていることを露呈してしまった恰好であり、後追い的な対応では既に手遅れだとの感は拭えませんが、日本の検察と裁判所の威信をかけて、世界に向けて日本は正義を貫き通す国だという毅然としたプレゼンスを示して欲しいものです。

出入国管理及び難民認定法(平成20年12月14日公布(平成30年法律第102号)改正)

第25条 本邦外の地域に赴く意図をもつて出国しようとする外国人(乗員を除く。次条において同じ。)は、その者が出国する出入国港において、法務省令で定める手続により、入国審査官から出国の確認を受けなければならない。
2 前項の外国人は、出国の確認を受けなければ出国してはならない。
第71条 第25条第2項又は第60条第2項の規定に違反して出国し、又は出国することを企てた者は、1年以下の懲役若しくは禁錮こ若しくは30万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。

Category: Author: 近藤 剛史
近藤総合法律事務所
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