2020年6月1日

ニューノーマルにおけるパワハラ防止

 新型コロナウィルスの感染拡大により、これまでの店舗での対面販売や外回りなどの営業活動等が自粛・縮小されたり、在宅勤務(テレワーク)が広がるなど、職場環境も大きく様変わりしていると言えます。そのような中で、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(いわゆる「パワハラ防止法」)が、2020年6月1日より、施行されることになりました(ただし、中小企業においては、令和4年3月31日までは努力義務に留まる)。
 雇用主(経営者)においては、特に下記条項の遵守が重要となります。
           記
第30条の2(雇用管理上の措置等)
①事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
②事業主は、労働者が前項の相談を行つたこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
 (以下、略)

 また、「労基法違反となるような長時間労働などがある職場では、パワーハラスメントが起きやすくなります。パワーハラスメントを防止するためには、労働施策総合推進法で定める雇用管理上の措置を講じるだけでなく、労基法等の関係法令を守るなど、働く方が安心して働くことができる職場を作ることも重要」(東京労働局「パワーハラスメント対策等)であることから、労働基準法等遵守の再確認が必要になるともに、「新型コロナウイルスへの対応で広がるテレワークに特有のハラスメントリスクを専門家が指摘している。文字だけの業務指示は強圧的な印象を与えやすく、在宅勤務で垣間見える私生活への言及は相手に不快感を与える恐れがある。」(日経デジタル2020年6月1日)という目新しい指摘もあり、「新しいワインは、新しい革袋に入れるものだ」(マタイ福音書)という諺もある通り、新しい働き方の実践においては、新しい法制度の認識・発見やその遵守(コンプライアンス)が不可欠と言えます。

Category: Author: 近藤 剛史
近藤総合法律事務所
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