【表示画面に関する判例】
・積算くん事件(大阪地判平成12年3月30日)
被告が制作・販売した建築積算アプリケーションソフトが、原告が著作権を有する建築積算アプリケーションソフト「積算くん」の著作権を侵害するとして訴えた事件であるが、大阪地裁は、「意匠内外装積算ソフトは、著作者の意匠内外装の積算に関する知見に基づき、製作されたものであり、その表示画面は、同ソフトを使用する者が意匠内外装積算を行いやすいように配慮して、著作者が製作したものであると考えられるから、右表示画面は、著作者の知的精神的活動の所産ということができる」また、「積算くんの表示画面を、あえて分類するとすれば、学術的な性質を有する図面、図表の類というべきである」とし、コンピュータソフトウェアの表示画面に関する著作物性を一般論として認めた。
・サイボウズ事件(東京地判平成14年9月5日、判時1811号127頁)
被告が製作・販売したビジネスソフト(グループウェア)が、原告が著作権を有するグループウェアの表示画面および相互に牽連関係にある各表示画面の集合体としての著作物の著作権侵害を行ったと主張した事件であるが、東京地裁は、それぞれ著作物として著作権法による保護の対象となるとしつつも、「ビジネスソフトウェアの著作物性に要求される機能や利用者の利便性の観点からの制約があり、作成者がその思想・感情を創作的に表現する範囲は限定的である」とし、「複製ないし翻案として著作権侵害を認め得る他者のソフトウェアは、いわゆるデッドコピーないしそれに準ずるようなものに限られるというべきである」と判示した。