近藤総合法律事務所
著作権実務判例集
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【フォントに関する判例】

・ゴナ書体事件(最判平成12年9月7日、判時1730号123頁)

 印刷用の書体(フォント)の著作物性が争われた事件であるが、最高裁は、「印刷書体がここにいう著作物に該当するというためには、それが従来の印刷用書体に比して顕著な特徴を有するといった独創性を備えることが必要であり、かつ、それ自体が美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えていなければならないと解するのが相当である。」として、印刷用書体一般の著作物性を否定した。

・フォントプログラム無断インストール事件(大阪地判平成16年5月13日)

 フォントプログラムを無断でインストールして販売したとして、フォントプログラムの著作権者がコンピュータ・周辺機器の販売会社とその代表者に対して損害賠償を求めた事件であるが、大阪地裁は、被告会社が顧客に対して、フォントプログラムの海賊版をハードディスクにインストールすることを謳い文句にパーソナルコンピュータの購入を勧誘し、販売したパソコンのハードディスクにフォントプログラムの海賊版をインストールしていたことが推認できると認定し、販売「台数自体が極めて多数に上り、販売先である顧客の数も相当に多数に上るという事情に照らせば、被告会社がこのうち何台のパーソナルコンピュータのハードディスクに本件フォントプログラムの海賊版をインストールしたか、またその際に何書体分をインストールしたかを厳密に立証することは事実上不可能であるというべきである。したがって、被告が本件フォントプログラムの海賊版をインストールしたハードディスクの台数及び書体数の認定に当たっては、合理的な推計によらざるを得ない」とし、台数(販売台数の4分の1)および書体数(23書体)を認定し、損害額についても原告の請求額と同額(約8,000万円)の支払いを命じたものである。


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