株券電子化について
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証券決済におけるリスク・コストの低減と金融マーケットの国際競争力強化
に向けた制度改革のための１つ。
Cf. 2007年世界経済フォーラム版国際競争力ランキングで、日本は、世界第8位。
個別分野では、ビジネスの洗練性3位、技術革新と市場規模4位、インフラ整備
状況9位、労働市場効率10位、マクロ経済の安定度97位、金融市場の洗練性
36位となっている。
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株券電子化（株式のペーパーレス化）とは、「社債、株式等の振替に関する法
律（以下「社債株式等振替法」という。）」により、上場会社の株式等に係る株券
をすべて廃止し、株券の存在を前提として行われてきた株主権の管理を、証券
保管振替機構及び証券会社等の金融機関に開設された口座において電子的
に行うこととするもの。
現在においても、株券保管振替制度の活用により、株券そのものの受渡しや
保管等の管理を株主自身が行わなくても売買や株主権の行使をすることができ
るが、一方で、株券を株主自身で管理し、株券の受渡しを株主自身が行う売買
等も認められており、株式の譲渡や管理に当たり様々なリスクや非効率性が指
摘されていた。
今後は、新たな株式振替制度により株券電子化が実施され、電子的な管理に
統一されることになる。
Cf. 株式会社は、原則として株券を発行しないものとされ、株券の発行を定款で定
めた場合に限って株券を発行できる（会社法214条）。
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2009年1月施行予定。また、ＣＢ（新株予約権付社債）、ＲＥＩＴ（不動産投資
信託）、優先出資証券についても同時に施行される。
なお、国債、短期社債（ＣＰ）、一般債（普通社債、地方債）については電子化
が既に実現している。
Cf. 2001年4月、ＩＴ書面一括法（「書面の交付等に関する情報通信の技術の利用
のための関係法律の整備に関する法律」）が施行。
旧証券取引法、旧訪問販売法、旅行業法などにおいて、紙文書での交付や
手続について、電子的手段での交付も認めるもの。
Cf. 2005年4月、ｅー文書法(「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通
信の技術の利用に関する法律」及び「同法施行に伴う関係法律の整備等に関
する法律」)が施行。
企業において紙での保存が義務付けられている財務や税務関連の書類・帳
票を、電子データとして保存することを認めるもの。
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１）株主
�顱吠脅困篥霪顱�偽造株券取得のリスクの排除。
�髻乏�式売買の際、株券の交付・受領、株主名簿の書換申請を行うことが
不要に。
�鵝鉾�行会社の商号変更や売買単位の変更の際に、株券の交換のため、
発行会社に株券を提出することが不要に。
２）発行会社（株主名簿管理人を含む）
�顱乏�主名簿の書換の際、株券の偽造等のチェックが不要に。
�髻乏�券の発行に伴う印刷代や印紙税、企業再編（企業間の合併や株式
交換、株式移転など）に伴う株券の回収・交付のコスト等が削減。
�鵝乏�券喪失登録手続を行うことが不要に。
３）証券会社
�顱乏�券の保管や運搬に係るリスクやコスト等が削減。
�髻乏�主が株券を証券保管振替機構に預託する場合や証券保管振替機構
に預託された株券を引き出す場合の手続が不要に。
�后ザ饌療�手続
１）証券保管振替機構（ほふり）の場合
証券保管振替機構（ほふり）に預託している場合（約８３０億株、個人
株主の約８割）には、手続は不要。
２）タンス株の場合
いわゆるタンス株（約１４０億株）の場合、原則として手続が必要。
タンス株は、電子化後は、上場会社が信託銀行などに開設する「特別
口座」で株主としての権利保全がなされるが、売却の際には、証券会
社の取引口座に振り替える必要がある。
また、「特別口座」は銘柄ごとにできることになるので、住所変更等の
場合にも「特別口座」の数だけ変更手続を行う必要がある。
３）金融機関の担保となっている場合
証券会社の保護預かりや金融機関の担保となっている株式（約５０億
株）の場合にも、原則として手続が必要。
担保権設定者と担保権者の双方が証券会社等に口座を開設し、担保
権設定者の保有口から担保権者の質権口等への口座振替によって設
定することになる。
４）他人名義のままの場合
株券を他人名義のまま保有している場合には、注意が必要。株主名簿
に記載されている名義人と同一名義で「特別口座」が開設されるため、
持ち主本人は株券電子化施行後に株主の権利を失う恐れがある。
�此ゼ最鯵�主の救済措置
１）具体的措置
名義株主の特別口座から失念株主の特別口座に振替を行う。
２）認められる場合
(1)名義株主と失念株主が共同して請求する場合。
(2)失念株主が裁判所の判決等の省令で定められた書類を添付して
請求する場合。
(3)利害関係人の利益を害するおそれがない場合として主務省令で
定める場合。
Ex.失念株主が、株券電子化から１年以内に、株券（券面）と株券電子化
前に取得したことを証明できる資料を提出して請求する場合等が予定
されている。
以 上
［参考資料］
・「株券電子化について」（金融庁）
・日本証券業協会 証券決済制度改革推進センター 「株券の電子化について」
「株券電子化に関する『よくあるQ&A』」（2007年12月版)