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2007年07月21日

通信・放送の総合的な法体系に関する研究会 中間取りまとめ

 通信・放送の総合的な法体系に関する研究会 中間取りまとめ(平成19年6月19日)

 ○日本の情報通信の状況

 我が国では、重点的な情報通信政策の展開により、「世界最先端のICTインフラ」の構築を果たし、さらに伝送インフラ全般でイノベーションが進行中である。
特に注目されるのが、従来の通信網がデジタル化されるに際して、IP(インターネットプロトコル)が、その開放的機能により、全世界に拡大、定着し、共通のインフラストラクチャとしての性格を強めつつあることである。これが、伝送インフラのイノベーションと相俟って、ブロードバンド映像配信(固定)、携帯端末向け映像配信、映像・音楽ダウンロード(iPod など)等、様々な「融合的サービス」の進展を招来している。これを背景に、インターネットコンテンツ配信の「メディア化」も進展している。ブログ、SNS(Social Networking Service (Site):インターネット上の個人間の交流を支援するサービス(サイト))などCGM(Consumer GeneratedMedia:消費者生成型メディア)の発展も著しく、我が国のメディア構造を変革しつつある。
 その一方で、インターネットの発展は、違法・有害コンテンツ流通の増大が社会問題化するという負の側面も示している。検索サービスの進展など、コンテンツのアクセス利便性を向上させるシステムの普及が問題をさらに深刻にしている。また、インターネット上のコンテンツ流通に係る著作権保護も、P2P(Peer to Peer:パソコン等のあらゆる端末に保存されたデータを直接やりとりするシステム・サービス)ファイル交換や映像投稿サービス等において問題となっている。
 放送では、ケーブルテレビや衛星放送などの伝送路の多様化やデジタル化の推進を背景として、メディアの多元化が大きく進展する一方、地上放送を中心とする総合放送とCS・ケーブルなどの専門放送の機能分化が進展している。


 ○ユビキタスネット社会構築に関する将来的課題

 ネットワーク上の情報流通を規律する中核法制として通信・放送法制の再編の方向性を提示したが、ユビキタスネット社会構築に向けた制度上の課題はこれにとどまるものではない。
 ICT利用については、IT戦略本部設置、IT基本法制定以降、電子商取引関係諸制度や行政情報化関係諸制度等が整備され、経済・社会の各方面におけるICT利活用の促進が図られたところである。しかし、個々に生じた課題について、民法・刑法等の一般法制や書面の交付等に係る個別法制、個人情報保護法制、セキュリティ法制、著作権法制などをその都度措置してきたため、「パッチワーク的」になっていることは否めない。ユビキタスネットの経済・社会への浸透をさらに進める観点からは、従来のアプローチではなく、関係府省が連携して「情報」という切り口で既存法制の整合性を検証、課題を再整理し、「包括的なユビキタスネット法制」として再設計する可能性についても議論すべきである。
 また、ICT分野における急速な技術革新、激しい市場変化にかんがみ、国には、制度の不断の見直しとともに、技術革新を先導しつつ、その成果を国民に適切に還元する役割が求められており、そのような視点から研究開発や人材育成などに関する制度についても今後課題の検証・見直しが必要である。


(参考)
○放送・通信関係現行法制
http://www.soumu.go.jp/menu_04/s_hourei/joho.html