2020-04

2020年04月25日

ウェーランド経済書講義と福澤諭吉

慶應4年(1868年)5月15日
 その日は江戸市中は混乱のさなかにあり、「芝居も寄席も見世物も料理茶屋もみな休んでしまって、八百八町は真の闇(やみ)、何が何やらわからないほど」であったと『福翁自伝』は伝えている。もちろん授業をしている学校などあろう筈はなかった。けれどもそのなかで福澤先生はいつもと変わらず土曜日の日課であるウェーランド経済書(Francis Wayland: The elements of political economy,1866)の講義を続けたのであった。そして先生は、世の中にいかなる変動があっても、慶應義塾の存する限り、わが国の学問の命脈は絶えることはないのだと塾生を励まし、それを大きな誇りとされたのであった。

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Category: Author: 近藤 剛史

2020年04月17日

株主総会における「継続会」(会社法317条)

 令和2年4月14日付けの経済産業省「株主総会運営に係るQ&A」(https://www.meti.go.jp/covid-19/kabunushi_sokai_qa.html)では、「現下の状況においては、その結果として、設定した会場に株主が出席していなくても、株主総会を開催することは可能と考えます。この場合、書面や電磁的方法による事前の議決権行使を認めることなどにより、決議の成立に必要な要件を満たすことができます。」とされています。ただ、「その結果として、設定した会場に株主が出席していな」い場合とされており、現実的には社員株主等の何人かの株主の出席が見込まれる場合が多く、現行法上、そもそも株主総会の開催を想定しなくてもよいということにはならないことには注意が必要です。
 また、他方で、会社法第317条による「継続会」という手段を用いることで、配当の基準日は変えずに、決算の承認の総会を後日に開催予定されていた株主総会の後、決算の内容について総会に提出する場を設け、株主の承認を得るという手続に経ることが可能となりますので、決算承認等の現実的な期限内対応が難しい場合には、この手段を用いることが考えられます。

<参照条文>
会社法第317条(延期又は続行の決議)
 株主総会においてその延期又は続行について決議があった場合には、第298条(株主総会の招集の決定)及び第299条(株主総会の招集の通知)の規定は、適用しない。

Category: Author: 近藤 剛史

2020年04月03日

新型コロナウィルス感染下における株主総会運営

 

株主総会運営に係るQ&A(令和2年4月2日経済産業省、法務省)

経済産業省及び法務省より、新型コロナウィルスの感染拡大下における「株主総会運営に係るQ&A」が公表されています。現在の深刻な感染状況からして、「3密」を避けるべく柔軟な対応はやはり必要だと思われます。

(Q)株主総会の招集通知等において、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために出席を控えることを呼びかけることは可能ですか。
(A)可能です。感染拡大防止策の一環として、出席を控えるよう呼びかけることは、株主の健康に配慮した措置と考えます。
なお、その際には、併せて書面や電磁的方法による事前の議決権行使の方法を案内することが望ましいと考えます。

(Q)新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるために、会場に入場できる株主の人数を制限することは可能ですか。
(A)可能です。新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるために、やむを得ないと判断される場合には、合理的な範囲内において、自社会議室を活用するなど、例年より会場の規模を縮小することや、会場に入場できる株主の人数を制限することも、可能と考えます。現下の状況においては、その結果として、会場に事実上株主が出席していなかったとしても、株主総会を開催することは可能と考えます。

(Q)上記Qに関連し、株主総会への出席について事前登録制を採用し、事前登録者を優先的に入場させることは可能ですか。
(A)可能です。上記Qの場合における会場の規模の縮小や、入場できる株主の人数の制限に当たり、株主総会に出席を希望する者に事前登録を依頼し、事前登録をした株主を優先的に入場させる等の措置をとることも、可能と考えます。なお、事前登録を依頼するに当たっては、全ての株主に平等に登録の機会を提供するとともに、登録方法について十分に周知し、株主総会に出席する機会を株主から不公正に奪うものとならないよう配慮すべきと考えます。

(Q)発熱や咳などの症状を有する株主に対し、入場を断ることや退場を命じることは可能ですか。
(A)可能です。新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるために、ウイルスの罹患が疑われる株主の入場を制限することや退場を命じることも、可能と考えます。

(Q)新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるために、株主総会の時間を短縮すること等は可能ですか。
(A)可能です。新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるために、やむを得ないと判断される場合には、株主総会の運営等に際し合理的な措置を講じることも、可能と考えます。具体的には、株主が会場に滞在する時間を短縮するため、例年に比べて議事の時間を短くすることや、株主総会後の交流会等を中止すること等が考えられます。

Category: Author: 近藤 剛史
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