2020年1月12日

オリンピックとサイバーセキュリティ

 今年(2020年)は、東京オリンピック・パラリンピックの開催が予定されていますが、現在、世界情勢において、米国とイランとはかなり危うい緊張状態となっており、米国と北朝鮮との緊張状態も未だ緩和されず、さらに西側諸国によるロシアへの経済制裁も続いており、米国と同盟関係にある日本も様々な影響を受けるものと考えられます。過去のオリンピックを振り返ってみますと、2012 年のロンドンオリンピックでは 2億件、2014年のソチオリンピックでは10万件のサイバー攻撃が発生したと言われており、国際オリンピック委員会の決定によりロシアのオリンピックへの参加が認められていないという事情もあることから(米国は、中国、ロシア、北朝鮮によるサイバー攻撃を非難しています)、サイバー攻撃やサイバーテロへの警戒は、今年、日本国のみならず、日本企業においても不可避な喫緊の課題であると言えます。
 わが国の上場企業においては、会社法に定められている会計監査以外に、金融商品取引法に基づく内部統制報告書(J-SOX)の提出が義務付けられていますが、J-SOXのシステム監査では、サイバー攻撃による侵入リスクについては評価対象とはされていませんので、サイバーセキュリティについて十分な対策が取られてない課題や弱点(セキュリティ・ホール)が存するかも知れません。
 今年、日本企業においては、サイバーセキュリティが一番重要なリスクマネジメント課題であるとして位置づけ、徹底した検証作業を行い、事後対策ではない、万全なる予防策・防衛策につき、十分検討し、実施して行く必要があると言えます。

Category: Author: 近藤 剛史
近藤総合法律事務所
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