2019年12月30日

[読書]ロシアの地政学と「主権」観

 2019年1月、ロシアのラブロフ外相は、日露外相会談において、これまでの外交交渉の内容を全く無視し、「北方領土という呼称を用いることは受け入れられない」と述べたり、プーチン大統領は、日ソ共同宣言では島を「引き渡す」と述べているだけであって、引き渡しの北方領土が「どちらの主権になるかは明記されていない」などと発言したため、法的に通用しない、なんという詭弁を弄するのかと呆れておりました。しかし、「「帝国」ロシアの地政学」(小泉悠著 東京堂出版 2019年)を読んで、ロシアの国家観としての特殊な「主権」の考え方、つまり「法的な国境線をどこに引くかというよりも、ロシアの主権は国境を越えてどこまで及ぶのか(あるいは及ぶべきではないのか)なのであって、一般的な国境紛争とは位相が大きく異なる」(15頁)考え方があることがよくわかりました。確かに、以前、ウクライナ問題について、ウクライナ人やロシア人と話をした時の印象とも合致するものであり、より深く、歴史や地政学について勉強しなければならないと感じました。

Category: Author: 近藤 剛史
近藤総合法律事務所
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