
2007年新司法試験論文式試験 民事系科目
問題文を読みながら、実務家の立場から、まず(文献など何も見ずに)、考えたり、思いついたり、気になった事項について書いています。論ずべき論点を列記しているのではなく、むしろ、事実の拾い方、反応の仕方に重点を置いています。
[民事系科目]〔第2問〕
【弁護士間で確認された事実】
「既に完成している作品」・・・そもそも物の「給付」があったといえるのかどうかという論点をはずすためか?
「一つ一つ異なっている」・・・特定物として考えて欲しい、その現物を提供すればよいという趣旨に読むべきか?
「Yの申込みに対して確定的な返事をしなかった」・・・この段階では、明確な契約合意なし。民法526条2項の問題か?
「あらかじめ預かっていた振込用紙」・・・銀行備え付けの用紙でもよいはずで、Yからの申込みに対応していることを明確にする趣旨か?この時点においては、契約の成立を認めてよいであろう。
「この時点では甲に傷はなかった」・・・Aとしては、特定物の引渡義務を履行していることになる。
「Xは準備した中間金200万円をそろえて対応した」・・・Xとしては、義務(履行準備)を果たしている。
「Xが扉を慎重に開けようとした際」・・・Xとしては注意義務を果たしている。
「亀裂と塗りの剥落」・・・瑕疵と言えるだろう。
「この点ではXの同意を得た」・・・修繕することと、履行期が遅れることについての承諾あり。
「来年2月末までに、傷を修理した甲を持ってこなければ」・・・�。卸酲�まで、�⊇�の修理、この2点を履行すれば、問題なし。不完全履行の場合には、追完による完全履行を催告した上でないと解除できない?ただ、停止条件付契約解除通知があったといえるのか?
「Xは『それなら結構だ。」と言って電話を切った。」・・・そもそも甲はもういらない(契約解除)という意味か、やむを得ず船便で送って3月5日に到着することを了解した趣旨か?
「Xは、契約は既に解除したとして」・・・どの時点の意思表示か?
【Xの言い分】
「そんな業者を選んだYに責任がある」・・・履行補助者の故意・過失?Yにその責任を負わせるのは酷ではないか。
「甲の修理をAに依頼したり、修理品を船便で送ることには同意していない」・・・前者は同意していたはず、後者は微妙。
「この契約は結構だ、と今一度警告した」・・・警告とはどういう意味?確定的な解除の意思表示かどうか?
「10万円の賃料」・・・履行利益、逸失利益?Yが知っていたかどうか?特別損害の問題か?
【Yの言い分】
「本来なら甲をそのままでXに渡せば十分だったはずで」・・・引渡時までの危険負担の問題?
「契約では船便で送ることになっているから」・・・確かに口頭でそう説明している
「3月初めになったことには何の問題もない」・・・問題ないことはない。2月末までしか合意できていなかったはず。
「Xも最終的には船便で結構だと」・・・そういう意味かどうかは微妙
【K弁護士とL修習生の会話】
「通説や有力説があって」・・・色々な主張をせよという趣旨か?
「Xの言い分が仮に認められた場合についても、さらに、こちらとしては対応を考える必要がありますね。」・・・帰責事由ありとなった場合での反論、抗弁?
「Xは本件契約を解除できない、という主張が可能かどうか」・・・帰責事由以外のところで、履行期限の延長に合意していたという主張か?
(a)2月末期限、履行遅滞、契約解除、逸失利益(特別損害)
(b)3月7日で期限延長の合意、危険の移転、帰責事由なし、特別損害に関する予見可能性なし
【訴状】
「これに対する平成17年10月1日から」・・・契約解除に基づく損害賠償だから、解除時からということだろうな。
「年6分」・・・商事債権の解除に基づく損害賠償の場合も、年6分という最高裁あった?
「250万円」・・・どこから250万円が出てきたのか、さっきの18万円はどうなったのかな?
「美術展終了後の平成18年6月10日」・・・美術展での展示が必要なのか、6月10日までに引き渡せばよいのか
「尋問を行うために、第2回口頭弁論期日が開かれたが、、、との陳述もした」・・・時機に遅れた攻撃防御方法?弁論準備手続き後の?
「なお、弁論を終結する予定にしている」・・・問題文にこれまで現れている主張だけを前提とせよという趣旨か?新たな主張や、請求の趣旨の拡張を目的とした訴えの変更がなされない
「なお、実体法上の法律構成の当否を問うものではない」・・・訴訟法上の問題が聞かれている。いわゆる「二段の推定」の問題ではない?弁論の全趣旨の問題?
「攻撃防御方法としての許容性を含む」・・・自白の撤回が認められるかどうかについて、結論も書かなければならない。反真実錯誤の問題?
「一切の債権債務が存在しない」・・・Dへの賃料10万円と8万円のアクリルケース解約違約金の将来の請求についても、配慮しておくべきことか?
「訴訟法上の観点から論じなさい」・・・代物弁済した仏像乙に瑕疵があった場合のことは考えなくてもよい?
【感想】
・昨年の問題と違って、問題文から解答者を意味無く混乱させるような記述はかなり削ぎ落とされているように思える。そういう意味では、原則的なスタンスとしては、問題文には無駄がないと思ってじっくり読むことが必要。
・ただ、それぞれの細かい事実を拾い上げて解答に反映させることが不可能あるいは無意味なところもあり、その見極めも必要か。
・要件事実や、実務的感覚を問う部分がなかったため、昨年よりも対策が講じやすいのではないか。ただ、来年に向けては、この双方とも対策をしておく必要あり。
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