大阪弁護士会所属 近藤総合法律事務所

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司法試験解説-2006

2006年新司法試験 民事系科目第2問に関する若干のコメント
 
 


問題文をよく読んで、答えることが必要である。これは当たり前のことですが、なかなかできないものです。例えば、問題文の中から、次のような記述につき、注意する必要があります。
 
 
「なお、X、Y、A、Bはいずれも株式会社である。」
  → 攪乱要素(ノイズ、ブラフ)だったら、本文中に入れるはずで(例えば、「Yの代表取締役が上記基本取引契約書の連帯保証人欄に署名押印した」という部分)、わざわざ「なお」書きという形では入れないはず。「なお」書きは、論点を絞るためか、論点を出すための助け舟と見るべき。
商法526条2項の商人間取引の場合の瑕疵担保責任期間に気付くべき。よって、結論の直接関係なくても、簡単に論じておくべき。関係がなくても、細かなところに気が回ると好印象。 


「譲渡担保を実行する旨の通知をするまでは、Aに代金の受領権がある旨をも合意した。」
  → わざわざ書いている感がある事実なので、理由付けなどとして、どこかで使うべきものと捉えるべき。
「『本件』債権譲渡担保の法的構成」
  → なぜ、「まずは、一般的な債権譲渡担保の法的構成について」という出題にしなかったのか。本件事案に即して、理由付けしなさいということを感ずるべきなのか。差がつきにくい部分と思われるだけに、工夫が必要。
 

「要件事実として必要か否かについて論じなさい。」
  → 論じないといけないわけで、結論だけではなく、どういう理由から請求原因や抗弁として位置付けるのか理由や根拠についても書いておくべき。「仮に、請求原因として考えると、、、となって、不都合だからである。」いわば、裁判官的発想での問題で、昔の研修所教育における要件事実の「下段」に書かせた内容をかくべき問題。
 

「Bの出金伝票」
  → 「出金しただけで、実際に、そのお金を手渡したとか、Zに振り込まれた伝票などはなく、、、」という事実に想起すべき。「本来なら、Zの領収書や振込控えなどがないとおかしいじゃあないかと、、、」証拠を見る目、実務感覚が要求されている。 


「証人尋問終了後」
  → 「あーあ、証人尋問が終わってしまったのか。反対尋問によって、敵性証人の信用性を減殺するチャンスがなかったんだ、、、。」「証人尋問は、弁護士にとっても、依頼者にとっても、裁判のヤマ場だからなあ」「証人調書を書証として提出するだけでは、不十分なことが多々あるよなあ。」という実務感覚が要求されている。 


「Yはその後、Xやその代理人からは何らの通知や連絡も受けていない。」
  → (裁判に出頭しなかったYが悪いのだが)その後、何らの権利行使もしていないXにも落ち度があるとも言えなくもなく、Yは安心し切っていたはず。その後の事情で、Yだけが責任を負わせられるのは可哀相ではないか。実務家としてのスワリの良さを見る目や利益衡量的な発想が要求されている。 


「どのような考え方を根拠とする主張があり得るかについて検討してみてください。」
  → 「こういう考え方がとれる。」「あういう考え方もとれる。」という論じ方で、思考の柔軟性(弁護士的発想)が求められている。世の中には、解決困難で、答えの出ない問題は非常に多いものであり、実務家としてのアプローチ(プロセス)が大切。必ずしも、自らが結論を出す必要はない。問題文からも、難しい問題であることが示唆されており、「悩み」を見せて、一生懸命考えて、深みのある答案に。

 


【全体的な感想】
 ・はっきり言って、短時間では、複雑な事実関係についてじっくり、ひつこく分析し、その上で、枝葉を落とし、すっきりとした答案にまとめるのは非常に難しいと思います。どこかの論点で深入りし過ぎないように、我慢が必要とも思います。
・問題点や論点に気付くように、当事者関係図と時系列図をきちんと書いて、場合によってはシンプルな図に置き換えたり、条文や基本書の該当項目を思い出したりして、どんな論点があったかという発想も必要。
・問題文に忠実に沿って、どの土俵で答えるべき。求められている形で答えなければ、「場外乱闘」のようなものになってしまう。
 「簡潔に説明した上で」「論じなさい」
 「どのような考え方」「どのような問題点があるか」「問題点についてどのように考えるべきか」
 「法律関係」「どのような請求をすることができるか」
 「そんなに簡単にあきらめないで、いろいろな考え方があるのだから」「主張が有り得るか」「反論」「再反論」 → いろいろな考え方を示す。
・「債務者対抗要件」「第三者対抗要件」「債権の特定」「附従性」「抗弁権の基礎となる事由」「反射効」というキーワードは、絶対に落とさない。答案採点上のチェックポイントにもなる。
 ・例えば、理由付けにおいて「手続保障」という一言で済まさないで、誰のどういう利益かをかみ砕いて書いておくべき。
 ・自分の頭で考えている、自分の言葉で答えているという点をアピールすべき。
 「なぜ、将来債権譲渡の有効性が問題になるんですか。」内容が確定していないと、権利の実現に法が助力できないから?
 「もともと民事訴訟とはそういうもの(相対効)であり、、、、」(スジ論によるひとつの割り切り) 「そして、そのように解したとしても、・・・という点から、○○にとって必ずしも酷にはならない。」(目配せ)

 
 

【対策】
・要件事実論や法理論のところは十分に準備できるところと思われますので、基礎的な部分をしっかり固めておくことは最低限必要です。
・次に、問題提起部分や理由付け部分についても、自分の頭でより突っ込んで考えているというところをできるだけ短い言葉で表現することにも注意が必要です。このことによって、他の受験生よりも、きらっと光る答案になります。
・最後に、上記のような実務感覚についてどう身につけるかですが、この点は短時間に身につけることはなかなか難しく、色々な機会を通じて、実務家教員とディスカッションを行うことが大切ではないかと思います。積極的に、実務家教員とも接するようにしてみては、如何でしょうか。


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