近藤総合法律事務所
平成17年独占禁止法改正
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平成17年独占禁止法改正
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平成17年独禁法改正

1 改正の経緯

 平成14年より独占禁止法研究会において独禁法の見直し作業が行われ、平成16年には経済界等の反対から法案提出が見送られていましたが、平成17年4月20日、第162回国会において独占禁止法改正案が成立しました。今回の改正は、昭和52年に課徴金制度が導入されて以来の大幅な改正となります。

 本改正法案は、平成17年4月27日に公布され、平成18年1月より施行予定とされています。

2 改正点のポイント

(1) 課徴金制度の見直し
(2) 公取委の審判手続きの見直し
(3) 犯則調査権限の導入

3 課徴金制度の見直し

 今回の改正のポイントは、まず、これまで課徴金制度が違反行為による不当利得の剥奪であると一般的に解されていましたが、その趣旨を違反行為の抑止であることを明確にしたことである。

 その上で、(イ)課徴金の対象範囲のハードコアカルテル全体への拡大、(ロ)課徴金算定率の引上げと加算制度の導入、(ハ)調査に協力した者に対する措置減免(Leniency Program)制度の新設などの具体的な改正がなされている。

 ちなみに、ハードコアカルテルとは、競争制限を目的としそれ以外の正当化事由をもたない、競争制限の意図・効果が明確な行為であること、市場支配力を形成するなど、競争制限効果の程度が大きいものを言う。

4 公取委の審判手続きの見直し

 従来の手続では、相手方が勧告の応諾しなかった場合、公取委によって審判が開始され、これを経たの後に排除措置が命じられる手続となっておりましたが、今回の改正によって、公取委は、簡略な事前手続で排除措置を命ずることができるようになり、審判は、相手方が命令に不服である場合に命令を争うための手続(覆審的争訟)とされることになった。

 なお、公取委が認定した事実がこれを立証する実質的な証拠があるとき裁判所を拘束するという実質的証拠ルールは堅持されている。

図

5 犯則調査権限の導入

従来、公取委は行政調査の結果に基づいて刑事告発を行ってきたが、そもそも行政調査は刑事責任を追及するための手続ではないため、そのような簡略な手続によって調査が行われることに批判が強かった。そこで、今回の改正では、行政調査に代わって刑事告発案件の調査を行うための手続として、犯則調査手続が導入されることになった。

この点につき、公取委は、(イ)行政調査と犯則調査の担当部門を別部門とすること、(ロ)行政調査部門と犯則調査部門との情報流用を禁止するためのファイヤーウォールをもうけること、(ハ)犯則調査部門の規模を50人程度とすることを明らかにしている。

6 附則

 なお、改正附則において、法律の施行後2年以内に、課徴金制度のあり方、審判手続のあり方等について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとされている。

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一言メッセージ

 「成功や繁栄のほうが、むしろ人間にとっては危険なワナとなる場合が多い」(スマイルズ「自助論」)

 競争力のある企業にとって、独禁法規制については十分な注意が必要である。





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